面倒臭いだけのひと。

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だが、そんな彼に対して容赦無く追撃が訪れる。 意識が朦朧としている、ファイの胸倉を掴んで前後に激しく振る。 泣きっ面に蜂である。 「本当なの! 本当にあんたはあんな事を言ったの!? ねぇ答えなさいよ!」 彼女が前後に腕を振るのに合わせて、ファイの首も揺れる。 そんな事をするから答えられないのだが、今の彼女は気付いていないらしい。 余程、重大な事なんだろう。 「おちっ……落ちつ……がっ、ぶつかって……く、くるし……」 「お、お嬢様! 落ち着いてください!」 ピアナが慌てて止めに入ったが、その時には既に時遅し。 哀れな少年は泡を吹いて気絶してしまいました。 「あ……」 胸倉を掴み、ファイの無残な顔を見ながら硬直するカレナ。 冷やかでなんとも言い難い沈黙が、彼女たちの間に重くのしかかる。 十分後。 「……で?」 若干不機嫌そうな表情でファイは目の前にいるカレナに、話しかける。 随分とやつれた表情ではあるが、先程と比べるとマシになった方である。 完全にオチていたのだから。 「扉ぶっ壊して、飯を台無しにして、俺を気絶させて、飯を台無しにして、結局何が聞きたかったんだ」 不機嫌の理由の大半を占めているのは、どうやら食事を邪魔された事らしい。 尚、テーブルの上は悲惨な状況だったので、カレナとピアナの二人が協力して片付けけました。 扉の方は一応簡易的な地属性魔法で、塞いでいる状態である。 帰る時に、一々壊さないといけないのが鬱陶しいが。 「いや、その実は……」 目を合わせない風にして、言葉を濁すカレナ。
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