Magical.1

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 箱ばかりの小さな六丈間。静寂の中でパソコンのタイピング音だけが聞こえる。  部屋の中にはゴミが散乱し、些か異臭を放ち始めている。  壁一面にはアニメのポスターが、所狭しと貼り巡らされ構成された、常人には堪え難い空間。 「おっ! 新作アップしてますね。よっしゃ、弾幕行きまーす!!」  あっ、どうも。えっと自分は……ん!? こっこれはっ!  パソコンの画面から響く『馬鹿犬!!』の愛らしい声。咄嗟に画面を食い入るように見つめ 「くぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅ」  くぎゅぅ可愛いよ、くぎゅぅ。  ……あれ? 何を言おうとしたのだっけ?   あぁ! どうも、末期の釘宮病患者です。  意味分からない? そうですか、ではでは自己紹介でも。  姓は神崎、名は大和。現在、二十九才の生っ粋のニートで候。  何? 彼女は居るのですかって? 当たり前です、山程いますから――。  パソコンの中に。  何ですか、その目は……。  えぇ、どーせ自分は童貞キモオタロリコンニートですよ。  そこまで言ってない?  まぁどうでも良いのです。何しろ、あと数分で記念すべき日が来るのです。  自分の生誕日という日が!  って誰に話し掛けているのでしょうね。つい独り言を言ってしまう自分が、時々虚しくなって来ます。まぁとりあえず、腹が減ってはニコニコは出来ぬと言いますのでピザでも頼みますかね。 「@ピザだぉっと」  
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