憂敬──長月 二十七 ノ 日

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  私の杞憂も終わり… 日暮れを迎え、アメリカさんの宿舎の一室を借りて夕食を取る事にした。 私は、新聞紙の包みを取出し、卓の上に置く。 昼間、あの少女から渡された物だ。 自分達も…満足に食べてはいないだろうに 私を気遣って 食べてくれと、渡してくれたのだ。 受け取る訳にはいかないと、私に言う間も与えず少女は駆け去り、その向かう先には …終戦の日 私に戦えと叫んで来た少年が立っていた。 私と目が合うと、少年は真っ直ぐに頭を下げ そして、少女と並んで去って行った。  
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