憂敬──長月 二十七 ノ 日

13/14
40人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ
  私に託された彼等の想いと共に 芋を噛み締める。 (気弱になってはいけない…) まだ、全てが終わった訳じゃない。 (未だ戦っている者達もいる…) まだ…始まってもいない。 (私が居なければ…彼等は何処に帰ると云うのです…!) 今はただ、堪え忍ぶ刻。    ココロ けして精神まで屈する訳では無いのだから。   辛うじて味のした芋を飲み下し、部屋の窓から夕景を私は見やる。 黄昏時の静寂は、何時の時代も変わらない…。 何度、沈もうと 必ず夜明けに陽は昇る。   イズル 日の出 国と称したを、偽りにしてなる物か。 "今"もいつかは"かつて"となるのだ。 あの幼い彼等の行く道を塞がぬように 私は もう 千年 此処から、 生きて見せよう─────!  
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!