LOVE♥①

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「あ、遥くん!お帰りなさい」 台所で母さんと話していた紗菜が、俺を見て微笑む。 背中に流れる長い黒髪。 小さな色白の顔に、長いまつげの大きな瞳。 スラリと伸びた手足。 小さい頃から一緒の幼なじみ目線から見ても、紗菜は美人だ。 「じゃあ私、そろそろ…」 「え、もう帰っちゃうの?じゃあ遥、さっさとこれ持って」 小さいのにやたら重い段ボール箱を押しつけられる。 中身は林檎。 ばあちゃんの家は青森で林檎農家をしていて、この時期になるとどっさり届く。 で、母さんが近所に配りまくる。 これは紗菜の家の分なのだろう。 「何で俺…」 「あら、こんなに重い物を、か弱い女に持たせる気?」 「……」 紗菜はともかく、母さんのどこがか弱いんだ…などと口に出したら、メシヌキじゃすまされない。 連日接待続きの親父と、男兄弟がいないことを恨みつつ、俺は箱を持つ。
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