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「幼なじみが居るんだ」
目が覚めた僕は、腹に包帯を巻いて近くの男と話していた。
一度絶望を味わった後は皆が皆こうなのかは知らないが、心地の好い解放感と、生きていられたと言う幸福感に包まれている。
「へぇ、可愛いの?」
ガヤガヤと騒がしい場所で、僕等は嬉々として話した。
お互い死にかけた負傷兵同士だ。
周りにも同じ包帯を巻いた人達が居て、話しを聞く限り今は夜。
どうやら戦いは一時カタが着いた様で、負傷者の救護が行われたようだ。
相手国が勝利後どう対処するかは知らないが、ここには見覚えがある。
どうやら僕達の国が勝利したらしい。
中継地点とは言え、負けていればこんな場所占領されていた筈だ。
何はともあれ無事生還できた。
情けない体たらくだがこれでも勝利に献上したんだ。
楽しげに世間話をしたって罰は当たるまい。
「幼なじみが女だって、僕が言ったかい?」
「何だよ、つまんないな」
「はは、冗談。可愛いよ」
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