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ほんの数日が経った。
元々僕は深い傷を負ってはいなかった様で、既に戦える程には回復。
横っ腹がズキズキと痛みはするがなんてことない。
先日は中継として活用したこの村を通り過ぎるだけでろくに見ていなかったので、改めてよく見ようと思い外に出た。
この村に名前は無いのだが、なかなか風情がある。
名前こそ無くとも枯れ風の村と呼ばれる由縁はこれか。
人々の活気に反して木は枯れ、枯れ葉が舞う。
今や木々のある村など希少価値だ。
なるほど滅びは素直に受け入れようとしているらしい。
野菜などの食物を外で堂々と育てる村なんて初めて見た。
そうすると、気にかかる事がある。
よくも死素を招き入れるような植物の栽培をするこの村を、国は許したものだ。
たかが一兵の僕が知るよしも無いが、流石に先日の防衛戦、そこそこの地位の指揮官は居るだろう。
それなのに村の人々には何のお咎めも無し。
一体全体何がどうなってるんだ?
説明するまでもなく、植物など育てようものなら普通は下手すれば死に値する大罪なのだ。
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