6人が本棚に入れています
本棚に追加
指揮官でなく、僕のような地位の一兵士でも---いや、それでなくともこの村の光景は異様だ。
死素の力に対抗する術の無い人間達は、それを見付けるまで、可能性を見出だすまで何としても生き抜かねばならない。
貪欲な国々はそれを見付ける為、生きる為戦争を始めた訳だが、それをまるで気にも止めぬ様子でのうのうと生きるこの村の人々をどう受け入れられよう。
それこそが戦争に関わりを持たない人間達の特権であろうが、ただ許せないのが僕等の戦う理由、元である死素を招き入れる行為だ。
こうお咎めが無いのには理由があるんだろうが、それに逆らわず滅びを招くようなこの行為、どうも気に食わない。
平和に生きるこの人達に嫉妬の念もあるのだろうが、しかしこの生き生きとした村の現状が苛立ちを覚えさせる。
もっとも、良くて枯れ風の村。
過去に戻ればこの枯れた木々が“生き生きした”と見える対象にはならなかったのだろうが。
今や生きた木々は愚か枯れた木すら見る事は稀だ。
伐採せず残しておくのも悪くは無いのか---。
まだ、割り切る事はできなかった。
最初のコメントを投稿しよう!