ヒロ

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「ただいま」 玄関の鍵を開け家に入る。時刻は22時。子供達は当然寝ている。 「お帰り。買ってきてくれた?」 「おう。めっちゃ高かったぞ!DS、2万だぞ!2万!軍資金が足りねぇ!」 「だからお金あげるって言ったのに…。ケイちゃん、あたしの話聞いてなかったでしょ?」 へぇへぇ。すんませんね。ネクタイを外し、スーツを脱ぐ。 身長180㎝体重100㎏のゴリマッチョをちゃん付けで呼ぶのは冴子だけだ。 冴子が茶碗に米を盛り付けてテーブルに並べる。今夜は手作りのコロッケだった。 「ヒロがなかったけど。あいついらねぇの?」 「ヒロねぇ…サッカーやりたいんだって」 「サッカーぁ?柔道どうすんだよ?」 秋葉家の子供は3歳から柔道を始める。6段の俺が教える地域のクラブに強制参加させていた。 「両方やるって言ってるよ?友達がみんな入ってるからやりたいんだって。ケイちゃんに怒られると思って言えなかったみたいよ?」 「ふーん。別に怒らねぇけど…。続けるんならいーんじゃね?」 「ヒロねぇ、クラスに好きな女の子がいるのよ。カッコイイとこ見せたいんじゃない?」 「何ぃ?色気づきやがって生意気な」 最近のガキは小1からそんなこと考えてんのか?
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