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「だって初々しくて可愛らしいんですもの」
「可愛らしいって…。あ、サイン出来ました」
小さくクスリと笑って“可愛らしい”と言った麗藍に、それを聞いて智輝ばがっくりと肩を落とした。
しかし、すぐに体制を戻しサインをした書類を差し出した。
「……はい、確かに。それではこれが人形師の。これが魔法師の資格認定証になります。身分証明にも出来て便利ですよ」
麗藍は、渡された書類に軽く目を通して確認した後に、二枚のカードを机から取り出した。
そして、一枚ずつ智輝に見えるよう少し前に出す。
まず、左端の上に顔写真があり…その横に『人形師』と書かれていて、その下に芦原智輝という名前と生年月日の書かれたカードを見せた。
次に、もう一枚のカード…こちらも同じ作りで…しかし、こちらは人形師と書かれていた場所に『魔法師』と書かれたカードを見せた。
「ありがとうございます」
「それでは、認証はこれで終わりです。ん~!終わったぁ♪トモくん、もう行くんでしょ?今日って確か、渉くんの査定日よね。この後会うの?」
終わりです、と言った途端に…眼鏡を外し、伸びをした。
すると、急に雰囲気が先ほどまでの凛としたものから、柔らかいおっとりとしたものに変わった。
「…いや、急に砕けすぎだと思うんだけど…?」
「いいじゃない、別に!幼なじみでしょ~。認証の時は正式なものだし、そこだけはすり込まれた言葉と雰囲気だけど」
「…いや…すり込まれたとか言わないの。ホント、その変わりようは二重人格並みだよね。あ、そうそう。渉の家には行こうとは思ってるよ」
「いいじゃない、別に!事実なんだから。やっぱりかぁ…。トモくんの時もそうだったけど、私も行きたいよ~」
グテーッと体の力を抜き、腕をダランとして顔は智輝の方に向けた状態で机に突っ伏し、口を軽く尖らせながら不服そうに言った。
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