-meet again-

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「仕方ないよ。麗藍は一応、ここの理事長なんだしさ」 「わかってるけどさ~…」 「理事長が流石に試験受けてすぐの生徒に接触するのはマズイでしょ」 「はいはい!わかりました!いいもんいいもん。どうせ明日には結果が出て…明後日には会えるもん!その時おめでとうって言うからいいわよ!一番に言ってやる!」 「アハハ、そうしたら?それはある意味理事長の特権だね。…あ、じゃあ僕、もう行くから」 智輝はそう言って椅子から立ち上がって、麗藍の方を見た。 そして、出口に向かい歩く。 「あ、うん。わかったわ。それにしても…トモくんと会うの解禁かと思ったら、次は渉くん…だもんねぇ」 麗藍は、出ていこうとする智輝を見れば、立ち上がり見送ろうとするが、小さくため息を吐いてそう言った。 「…まぁ、仕方ないよ。麗藍は理事長なんだし…。終わったらまたちゃんと会えるんだから…我慢我慢!…じゃあね」 智輝は、小さくクスリと笑って後ろ手に手を振って…小さくそう言った後に出ていった。 その後ろ姿を見送れば、麗藍は小さくため息を吐いて呟いた。 「…わかってるってば…。…ホント、いちいち独り言に近い愚痴にまで反応してくれて…トモくんってば優しいんだから…」 小さく苦笑混じりに言ったその言葉だけが、部屋の中に小さく響いて…そして消えた。 時間と場所は変わって、ここは学校の外…街の中。 学校から出た智輝は、適当に街をブラブラと歩いていた。 当初の目的を言うと、人形を作るための材料を買おうかと思ったのだが…買う気はあるのに、店に入ろうとは思えなかった。 しかし、だからといって、何故か真っ直ぐ家に帰る気にもなれない……いや、真っ直ぐ帰ってはいけない…そんな気がした。 なので、自分でも何故だかわからないが…当初の目的を果たせる見込みもないのに、ただただ街をブラブラしているのだ。
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