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「ごちそうさま!」
「ん。お粗末さま。今日は食器は片さなくていいから…歯、磨いておいで」
「わかった!ありがと」
智輝は持とうとした食器から手を離し、軽く静菜に礼を言って洗面所の方へ向かって行った。
静菜も程なく食べ終わり、椅子から立ち上がれば二人分の食器を運び、それらを洗い出した。
静菜がいくつか食器を洗い終わると…歯を磨き終わったのであろう智輝が戻って来たらしく、トントンという足音と共に智輝の声が聞こえてきた。
「静菜さん!じゃあ、僕そろそろ行くね!」
静菜は智輝の声を聞けば、食器を洗っていた手と水を止め、智輝の方へ振り返る。
そこには、服など既に全ての用意をきっちり終え、リビングの入り口に立っている智輝がいた。
「そう。じゃあ、たまには玄関まで見送ってあげる」
「アハハ、ありがとう!」
静菜と智輝は笑いながら玄関へ向かった。
玄関に着けば、智輝は靴を履き静菜の方を向き、話し出す。
「じゃあ、いってきます」
「いってらっしゃい」
静菜は、優しくニコリと微笑んで、智輝を見送った。
家から出た智輝は、学校へ向かってゆっくりと歩いて行く。
因みに、学校と言っても、この世界にある特殊な職業……“人形師”や“魔法師”になるためのモノである。
人形師と魔法師という職業は、この学校に入っていなければ資格がとれない。
なので、名は学校だが、“学ぶための学校”というよりは、どちらかと言うと“訓練所”といった感じだ。
基本的には、この学校の生徒は人形師か魔法師…どちらかだけの資格しかとらない。…いや、正確に言うと“とれない”。
片方の資格をとるのだけでも十分難しいもので、2つをとることなどとても出来ないのだ。
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