65人が本棚に入れています
本棚に追加
教室に入ると気づく。やっぱり普段のクラスの連中とは違い、休みの前日ともなればテンションが高い。
恋人と過ごす奴、親の実家に帰る奴、初日の出を見に行く奴。
多種多様な会話が、いろんなとこから聞こえてきていた。
俺は後ろから肩をトンっとされる。
ゆっくり首だけ振り向くと、綺麗な顔をした青年がカレーパンを片手にほくそ笑んでいた。
青年は内茂(ウチシゲル)といい、それはまさに女神からのプレゼントではというくらいの美形をもち、言動中身共に優しいが、
俺と同じに勉強とスポーツはからっきし出来ないというモテ男で、
今もそうだが大抵はいつも黒く長い髪をポニーテールで決めている。
「くくるくらいなら切れよ!!」
そう何度言っても、ギネスを目指したいとか何とか言って聞く耳をもってくれない。
ちなみに関係は幼なじみで大好物は今も携帯しているカレーパン。
こいつといると、クラスや他クラスから女共がわんさかやって来て茂を巡り暴動が起きてしまう。
俺からしたら憎ましくもあり、どこか羨ましくもある…。
これはやっぱり暇過ぎるせいだろうか、俺は間の抜けた顔で茂に当たり前のことを無意識に呟いていた。
「冬休みだなぁ…」
別に全然無視されても良かったのだが、そのどうでもいい呟きに茂が応えてくれる。
「だね…、進ちゃんは予定何かある?」
そうだ…せっかく休みなのに、まるでそういうのがない。
普段は休みが少ないよってボヤいてるくせに、いざ来るとこうなる…。
俺は頭をポリポリかく。
「お前と会うのが多いかもなぁ…」
目が合うと同時に、茂は残りのカレーパンを目一杯口に放り込んだ。
「いいよ! いつでも電話してくれて!」
茂からささやかなウインクをプレゼントされる。
そして俺はしきりに思う。
「気持ち悪っ!!!」
最初のコメントを投稿しよう!