6人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
日本は確実に悪い方向へと進んでいっている。
日本国憲法第9条の放棄………。
自衛隊も日本国陸軍と名称を変え、民間軍事請負会社(PMC)も増えてきた。
中学生である俺の友達にも、卒業後にPMCに入社する奴も出てくる。
銃の扱い方や戦争で生き残る術などを書いた本がバカ売れし、メディアはそれに染まる。
結果、学校でもそれらの事が教えられるようになった。
俺はこの世界が嫌いだ。
何かが足りない気がして…………。
「最近授業退屈だよな………。」
最近、これが口癖になってきた。
中学校の屋上。
二人の少年が、肩を並べて仰向けになっている。
空は見とれるほどの青色だった。
「……ああ………。」
もう一人の少年が応える。
優希と陸。
どこにでも居そうな中学生の男の子。
俺が優希で彼が陸。
俺もあいつも運動神経だけはいい。
「……このままサボる?」
頭の後ろを掻きながら俺は言った。
「どーせ次は"軍事"だろ?…ならいいや。さぼろうぜ?」
すると、後ろでドアが開いた。
「こら。二人とも、起きなさい。」
その、可愛く、胸を締め付けるクリクリボイスを聴いた瞬間、魔法にかけられたような気持ちになり、俺は即座に立ち上がった。
未だ仰向けの陸は俺を見てニヤけた。
「なっ、なんだよ?」
挑戦的な態度をとる陸に訊いた。
「いやぁ、別にぃ~………。」
そう言って彼は空に目線を移す。
「早くしないと授業始まるよ?」
怒った表情をしている彼女は睨んだ。
「早く。おいてくよ?」
「あ、ああ。」
心拍数は嫌でも急上昇し、心臓が口から飛び出そうな勢いだ。
「行って来な?チャンスだぜ?」
顔を真っ赤にした俺を見て彼がボソッと言った。
「うるせー。
……っつーかちぃも来てるぞ。」
「…………!!??」
さっきまで余裕だった彼も顔を僅かにピンクに染め勢い良く起き上がった。
「早く行きましょ~。」
「二人とも、行くよ?」
俺ら二人は顔を見合わせた。
そして、ゆっくりとドアへ歩き出した。
最初のコメントを投稿しよう!