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僕と剛志は宮田の元へ向かいその考えを話した。
宮田はおし黙って聞いていたが、ゆっくりと口を開いて言った。
「俺も君と同じ考えだ。多分ここは強制労働者を集めている場所だろう。俺の読みでは共産系の国か非合法の麻薬組織の類かのどちらかだ」
屈強な体を持つ者が集まれば反乱の大きな力になる。
その芽を摘んでおくという意味でも『選別』は機能的なシステムだと言えよう。
僕は歯噛みしながら吐き捨てた。
「なんとかしてここから脱出する事は出来ないんですか?」
宮田が難しそうな顔で返す。
「今のメンバーじゃ難しいだろうな。みな肉体労働系の人間じゃないし。何よりもここにいる連中は心が死んでいる。何かのきっかけさえあればいいんだが……」
悔しそうな宮田の表情を見つめながら、僕はもう逃げられないかもしれないと言う絶望と必死に戦っていたのだった。
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