恋の甘さが届く夜に(A)

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声の主はアニスだった。 半歩後ろに、柔和な笑みのイオンがいた。 「……何か用?」 「シンクの部屋は6階でしょー。なんで8階にいるのかなあって思って」 「……関係ないだろ。 そっちこそ、なんでイオンがここにいるのさ」 イオンはこちらをしっかり見ながら、 「アニスの部屋のツリーを見に行っていたんです」 とても綺麗でしたよ、と笑うイオンが、眩しかった。 「はうあ! もうこんな時間? イオン様、もうお休みにならないと……」 「ああ、そうですね。 それではシンク、おやすみなさい」 歩いていったイオンとアニスは、お菓子の話をしながら、エレベーターに消えていった。 イオンは甘いクッキーが好きだとかなんとか言っていた気がする。 あれ? じゃあ、ケーキの味は…… とんっ… ──後ろに温もりを感じた。
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