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「アンタはイオンのことが好きなんじゃなかったわけ?」
「……好きだけど、違うの」
「意味わかんない」
ため息をつき、僕はベッドに腰掛けた。
アリエッタは食器棚からフォークと小皿を2つずつ出して、テーブルに置き、ケーキを切り分け始める。
「アリエッタは、イオン様を守りたいだけ。
……アリエッタが、プレゼントをあげたいのは」
アリエッタがナイフを置き、僕の方に振り返る。
気付いたときには、アリエッタの手は僕の頬にあり、視界にはアリエッタの顔しか見えなくなっていた。
「シンクだけ……なんだから」
アリエッタの手の小ささ、首をかすめる柔らかい髪、暖かい唇の感触。
それでわかったんだ。
僕を「シンク」として見てくれる人が、こんなに近くにいたんだって。
アンタの全てが、僕を愛しているんだって───…
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