恋の甘さが届く夜に(A)

14/17
前へ
/102ページ
次へ
「アンタはイオンのことが好きなんじゃなかったわけ?」 「……好きだけど、違うの」 「意味わかんない」 ため息をつき、僕はベッドに腰掛けた。 アリエッタは食器棚からフォークと小皿を2つずつ出して、テーブルに置き、ケーキを切り分け始める。 「アリエッタは、イオン様を守りたいだけ。 ……アリエッタが、プレゼントをあげたいのは」 アリエッタがナイフを置き、僕の方に振り返る。 気付いたときには、アリエッタの手は僕の頬にあり、視界にはアリエッタの顔しか見えなくなっていた。 「シンクだけ……なんだから」 アリエッタの手の小ささ、首をかすめる柔らかい髪、暖かい唇の感触。 それでわかったんだ。 僕を「シンク」として見てくれる人が、こんなに近くにいたんだって。 アンタの全てが、僕を愛しているんだって───…
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

98人が本棚に入れています
本棚に追加