恋の甘さが届く夜に(A)

15/17
前へ
/102ページ
次へ
朝、僕はいつものように目覚めた。 ……いや、違う。 いつもなら目が覚めた瞬間に、12月の空気に凍えるのに。 今朝はむしろ暖かい。 「……ん」 僕の隣で、アリエッタが寝返りをうった。 安らかな寝顔で眠るアリエッタには、僕に愛された印が、赤くなって残っていた。 アリエッタが僕の名前を呼ぶたびに身体が熱くなって、それに比例して高ぶる気持ちが止まらなかった。 「起きたくねー……」 できるならこのまま離れたくないが、任務があるため、起き上がらないわけにはいかない。 「離れたくない……だってさ」 自重気味の笑いが漏れる。 昨日まで全ての人と心を通わすのを否定していた僕が、こんなことを言うなんて。 アリエッタにちゃんと布団をかけ、僕は布団から出た。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

98人が本棚に入れています
本棚に追加