恋の甘さが届く夜に(A)

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数時間経った、その夜。 今、僕はアリエッタの部屋の前にいる。 自分なりにやれることは考えたが、許してもらえるだろうか。 そう考えたらノックすることができなくて…… ガチャッ 「シンク……?」 アリエッタは少しだけ扉を開け、隙間から顔を出した。 「なっ……」 「お友達が教えてくれたの」 アリエッタは、いつもの人形を強く抱き締めていた。 いきなり扉が開いたことによるショックから立ち直った僕は、ケーキの皿を突き付けて 「これ、返しにきたんだよ」 「……ありがとう」 「じゃあな」 やっぱり本人を目の前にすると、言いたいことなんて言えなかった。 でも今回は大丈夫。 きっと彼女はすぐに─… 「シンク!」
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