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ハヤトはナギのことをどう思っているのか自分でもわかっていない。それでも1つだけ言えることがあった
「少なくとも嫌いではないな」
「あ、えへへ、良かったよぅ」
ナギは安心すると部屋の奥、窓際まで歩いていき、そこでくるりと踵を返してハヤトのほうを向く
ハヤトは溜め息をついて扉を締めるとベッドに座り、ナギが喋り出すのを待つ
「あのね、ハヤ君。私と友達になってくれないかな?」
「は?」
ハヤトは一瞬ナギが何を言っているのか理解できず、間の抜けた声を漏らした
「だからお友達……ダメ?」
「…………なんで俺なんだ? 自慢じゃないが俺は友達なんていなかった。むしろ嫌われてた奴だぞ? 他にもいい奴はいる。だから、俺となんてやめておけ」
ハヤトからはどことなく陰りが感じられた。ナギはそれを感じとったのか、悲しそうにハヤトを見つめる
「だったら、だったら、私が友達になってあげる。ハヤ君はいい人だよぅ」
「……だから、会っても間もないのにいい奴なんてわかるはずがないだろ
それに明日からは主と従者。友達なんて無理だ」
ハヤトは友達になることを拒んでいた。ナギのことを嫌いなわけではない。今まで独りだったから、何かが変わる気がして怖いのだ
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