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でもナギはそんな不安を吹き飛ばすかのように笑った。ハヤトにとって眩しすぎるそれは彼を包み込み不思議と安心させていた
ナギはハヤトに1歩ずつ距離を詰めていき、やがて正面に立つ。そして彼の両手を取って目を瞑る
「ハヤ君。誰が嫌おうと、誰が悪く言おうとも私はあなたの友達になるよ
楽しいこと嬉しいこと、悲しみ、悩み、辛いこと、全部とは言わなくても分け合おうよ」
いつもの口調。変わらない態度。それでも言の葉に乗せられる想いは力強く、そして暖かい
いつしか、ハヤトの頬には一筋の光が流れていた。やがて、それは決壊したダムのように止めどなく流れ続ける
ハヤトにもわからなかった。涙を止めようとしても止まらない。ただ判るのは悲しみから溢れ出たものではないということ
「なんでだろう……悲しいはずじゃないのに……」
ハヤトは涙を袖で何度も、何度も拭う
「嬉しい時でも涙は流れるんだよ」
ナギは優しくハヤトに教えてあげる。その姿はまるで母親のようだった
「そっか、俺は嬉しいんだな」
ハヤトはようやく自分の気持ちを理解することができた。そして、自ずとナギへと返事を出していた
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