名前

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「イギリス?」 修一は、いきなり出てきたイギリスという言葉にビックリしたみたい。 「イギリスには、母方のお祖父様とお祖母様がいるの・・・その紅茶、お気に入りのメーカーのやつなの。マフィンは手作りだけどね」 私が言うと、修一は笑顔になる。その笑顔を見て良かったと思う。 「ありがとう」 「今年は時間が無くて、ちゃんと準備出来なくてごめんなさい」 私が謝ると、 「良いよ。プレゼントは形じゃなくて、気持ちだしね」 修一の言葉に私は安心する。 「ありがとう」 私が言うと、 「美保、里中くん、風邪引くわよ」 そう言って顔を出したのは、お母さんだった。 「お母さん」 私が振り返ると、 「頑張って作ったかいはあったみたいね・・・雅也さんがちょっと拗ねてたわよ」 「お母さんっ」 お母さんはそう言ってクスクス笑う。私は何を差しているのか分かったので、あたふたする。修一は不思議そうな顔をしてる。 「マフィンは里中くんだけだから」 お母さんはそう言ってますます笑いだす。私はお母さんを軽く睨む。 余計な事を言わないでほしい。
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