12月24日

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「ごめんね、大丈夫?」 「……へいき」  健吾から差し出された手を掴むことなく、少年は立ち上がり、また勢い良く走り去っていった。 「無愛想なガキだな」  謝罪の言葉もない少年に、瑞原は肩をすくませ、また球場へと歩みを寄せる。健吾以外のメンバーもそれに続き、順番に中へと入っていった。  健吾は、遠く離れていく少年の背中に目をやっている。  ここの開園って、たしか10時のはずなんだけど…どうして…。  そんな疑問を頭に浮かべ、立ち尽くしていると、瑞原の声が聞こえてきた。 「健吾!何してんだ?」 「…なんでもない。今行くよ」  別に自分の知ったことではない。そう考えて、健吾は他のメンバーと同様、球場の中へと入っていった。 “レッディース、アーンドジェントルメン!…本日は、ここドリームランド、ドリーム球場に足をお運びいただき、誠にありがとうございます!…さて、当球場ではクリスマス特別イベントと致しまして、本日12月24日と25日の2日間、高校球児による熱いバトルを予定しております!……”  午前10時30分、球場内にイベントの開催を告げるアナウンスが流れ始めた。  健吾達6人は、他の参加者達と共に、選手控え室でこのアナウンスを耳にしていた。 「これって、いろんな人に見られるイベントなんだね…」 「球場でやる以上、客席は使えるしな」 「参加チーム数40ぐらいだっけ?」 「結構いたな」 「高校生以下なら、小、中学生でも参加できるみたいだね」 「ハンデをつけて調整するって言ってたな」  健吾が淡々と質問を投げかけ、瑞原がそれを捌いていく。  ユニフォームにも着替え終え、そろそろ入場かといったタイミング。 「緊張してきた。今日って、予選なんだよね?」 「あぁ。でかいアスレチックみたいなやつだってよ」  球場の広さでやるアスレチックって、どんな?  健吾がそう疑問に思っていると、イベントスタッフが入場するように、と連絡しに来た。 「よっし、行くぜ!」 「おう!」  瑞原の掛け声に全員が応え、6人は控え室を後にした。 “…それでは、選手達の準備が完了したようです!早速入場していただきましょう!…今日と明日を盛り上げてくれる選手達でっす!!”
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