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「本当に、無知なのね」
同じ場所に向かってる訳だから一緒に行けば良いのに、ルナサは小走りで先に行ってしまった。
呆れた様子ではなく、今一度確認するように残された置き土産的な嫌味も既に俺の耳には届かず、脳味噌はやらかした粗相をどう処理するかで一杯だった。
普通に呼び捨てにしちゃったよ。
しかし、そんな俺の心配を余所にロアは袖を引っ張った。
「早くしましょうよ。急がないと、間に合いませんよ?」
向けられた笑顔は古くから付き合いのある友人に向けられるようなもので、屈託が無く純真が伝わって来る。
俺は馬鹿か。
友達に、家柄も何も関係無い。ここに居るのは、ただのアルヴィスとロアだ。だから、そんな俺達に遠慮は要らない。
「おっし、行くか!」
「はいっ!」
そうして俺達は、揃ってスタートラインを跨いだ。
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