契約 猛火

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「すいません、付き合わせたみたいで」 「気にすんな。俺も耐え切れん」 入学の儀は式典というよりも、社交的な集まりに近かった。大広間は金銀絢爛に装飾され、昼間だというのにわざわざ暗幕で締切り、明かりが灯されていた。金持ちの考える事は、よく分からん。 式典は学長の祝辞のみで、あとは広間で一回生同士挨拶して回る形式だったが、何せ知り合いがロアとルナサだけだから誰も近寄って来ない。所謂孤立状態。 一方、12賢者の子孫であるロアの回りには人だかりが絶える事なく、四方八方から飛んで来る挨拶に参っていた。 理由は違えど、耐え切れなくなった俺達は揃って広間を抜け出したのだ。 俺はともかく、ロアにはそれでも着いて来ようとする奴が居るために俺の部屋まで逃げて来た。 まだ荷解きもしてない為に殺風景だが、あんな目がチカチカする場所より大分マシ。一つのベッドに、俺とロアは腰を降ろした。 一息吐いた頃、 「入るわよー」 ドアがノックされた。
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