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「僕、抗議してきます!!」
俺が雑用を言い渡された噂は瞬く間に広がった。それは漏れなくロアの耳にも入り、こうして見た事もないぐらいに怒らせている訳だ。瞳に炎を焚いて、大股で部屋を出て行こうとするロア。そうだ、良いぞ!
十二賢者の家系であるロアが物申したならば、流石にあのクラウスも発言を撤回するだろう。
いや、まて。この抗議が受入れられたとして、恐らくクラウスは他の補講を言い渡してくるだろう。
……くそ……策士め。予めクラウスは、ロアが抗議に来る事をも見越していたに違いない。そして、別の補講を受け取りたくない俺がそれを止めるのも。
「待て、ロア。これは俺の不始末が招いた結果だ。甘んじて、受入れようと思う」
「アルヴィスさん……カッコいいです!」
俺、かっこわるい。
キラキラ純粋な視線が痛い。
とにかく、補講は手早く片付けるに限る。でなければ、またややこしい変態……先輩が嗅ぎ付けて話を拗(こじ)らせる。
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