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人の身に余る魔法。
生温い表現だ。精霊と契約する次元の話ではない。そいつらと対峙した俺にはよく分かる。言葉も通じず、捕食対象としか見られていない人間がどうしてソレと契約出来ようか。いや、契約ではない。
使役だ。
圧倒的な捕食者を使役するのだ。
指輪によって縛り付ける柱は72。地獄を支配する柱を、召喚。
「とんでもない代物だ」
「何がです?」
仮面の女は言いながらも後退る。俺が第三者なら、尻尾を巻いて逃げるに違いない。
それ程に起動した指輪は黒い威圧感を放ち始めた。内側から喰い尽くされそうな魔力。誰しもが自らを矮小な存在と思い知らされる。
「素晴らしいです……が、厄介極まりないですね。ここは退(ひ)きましょう」
逃がさない。
「ソロモンの指輪起動。召喚『ベリト』」
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