暗闇の向こうから来るオッサン2010

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暗闇の向こうから来るオッサン2010

そのオッサンは哀しみを背負っていた 名前も知らないオッサン 道でたまたますれ違ったオッサン もちろんオッサンも私のことをしらないだろう 深夜 静寂が包む真っ暗な道で私とオッサンは出会った オッサンはお世辞にもきれいとは言えない服装していて無精ヒゲを生やし 疲れ切り肩を落としてトボトボオッサンは歩いて来た 私は私なりに年相応の容姿で外出したつもりだけど なんの面白みも無いクソツマランありきたりな上着 どこにでもありそうなベタな色合いのジーンズ 馬鹿正直に左右同じ柄のスニーカー 少しのヒネリも工夫も個性も夢も希望も友情も感じられない冴えない顔をしていた オッサンが羨ましく思えた オッサンが哀しみを背負っていたように見えたのは こんなにちっぽけで惨めな私を哀れんでいたからだということに気付いた 暗闇の中で運命的に私達は鉢合わせ 奇跡的に一瞥もくれず通り過ぎた その間に二人の間には言葉以上の絆が生まれていた さようならオッサン もう二度と会うことは無いだろう だって私達はこんなにも違う 宇宙から届いた三万光年前の巡り合わせ もし次会うことになったら その時は必ずお互いが求めあった時 二人は待たないで歩いてく けど絶対忘れないで覚えてる
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