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『優…』
僕は優の手を握った。
『忠義…もうちょっとで産まれるからね…』
優が苦しそうに言ってきた。
そんな優の姿をただ見守ることしかできない僕は情けない。
僕の目からは涙が溢れて優の顔がぼやけて見える。
『優…頑張れ。』
そうしか言えなかった。
神様。
優の命を助けてください。
これから何でもします。
仕事も頑張るから…どうか
どうか優を僕から奪わないでください。
『オギャー。』
元気な鳴き声とともに赤ちゃんが産まれた。
『忠義…産まれたよ。』
優は本当に苦しそうで。
『優よく頑張ったな。』
涙が止まらない。
『忠義、赤ちゃんを大事に育ててあげてね。幸せにしてあげてね。
今まで…ありがとう。』
そう言い終えた優は看護士さんに抱かれた赤ちゃんを見て目を瞑った。
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