4人が本棚に入れています
本棚に追加
キーンコーン、カーンコーン。
校舎に響き渡るチャイム音が今日の授業の終わりを告げた。
静まり返っていた教室が移動する生徒達の出入りで一気に騒がしくなる。
「じゃあね、バイバイ」
「うん、また明日」
部活に行く者、バイトする者、恋人との約束に向かう者…と、各々自分の放課後へと歩いて行く。
そしてここにも、多少他人とはベクトルが違う方向に向いた青春を謳歌してる者がいた。
「ぃよっしゃー!今日も恋する乙女のラブラブタイムがぁー来たーー!」
いきなり拳を高々と掲げて立ち上がる一人の女子生徒。
周囲の痛い視線などお構いなしにいそいそと鞄からピンクのハートマークのついた便箋を取り出す。
(今日こそ私のこのマグマなこの想いを彼に伝えるんだから!)
ギュムムと手紙を握り締め教室を出ようとしたその時
「ちょっと待ったー!!」
「…ごめんなさい」
「いや早いから!何も言ってないのに早いから!物語はこれからだから!」
「……私、急いでるんですけど」
後ろから掛けられた声にクールな答えを返すヒートでメタルなハートを持った女子生徒。
最初のコメントを投稿しよう!