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「……綺麗な家」
何処にも誉めるような場所がないこの家を、葵は一言で片づけてしまった
だが、俺はそんな葵を突き飛ばしていた
何故だかあまり分からない、葵はもっと分かってない
だから、あいつの健気な目には涙と疑問符が浮かんでる
何で?何で?っていう文字が、今にも葵から溢れ出しそうだ
葵の瞳を見ていると
好きとか嫌いとか、そんな単純な感情じゃなくて
もっとぐちゃぐちゃした色んな感情が一気に押し寄せてきた
それに伴って、血が上って体が熱くなっていく
それからの記憶はあまりない
ふと、気づけば俺の足やら拳がジンジンと疼いて
俺の傍らに葵が横たわっていた
一応息はしてるから、
まだ生きてるんだろう
別に、殺す気はなかったけど
でも、こいつの存在は消したい俺の脳内の記憶からと思う
だって、葵がいなければこんな思いをする筈はなかったのに………
何で俺、こんな奴に一々ムカついたり、哀れんだり、動揺したりしてるんだ?
それが分からないから不安になって
葵を傷つける
ずっとそれの繰り返し
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