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怖ず怖ずと口を開いて葵ちゃんは愛について語る
「ぼ、くはな…繋がって、ると、思っ、て、……こ…んな鎖とか、やな…くてう、はと、僕が…
それ…で、ぼくら…、を、繋、いで…のが、き…っと、愛、や……」
本当に滑稽だな
葵ちゃん、俺に手錠かけられて
正体不明の錠剤飲まされて
それで大分呂律が回らない様になってるのに
何でそんな事言うの?
俺に何を期待してんの?
葵ちゃんが今、何を思って喋っているのか理解出来ない
否、脳が理解しようとしない
もしかして、情事後に愛してるって言ってるのを信じてるとか?
そんなの社交辞令みたいなものだし、
こんな汚らしい人間の言葉、一々信じないでほしい……
「…………う、は?」
俺からの返事が無いから不安になったらしい葵ちゃんが、戸惑い気味に声を掛けてくる
「葵ちゃん、僕っていうの止めて」
何時もの様に冷たく言い放つ
葵ちゃんはびっくりした顔で、瞳もみるみるうちに涙に塗れていく
「えっ…、でも……う、はが」
そんな加虐心を煽る様な顔をしている葵ちゃんに、ぴしゃりと言った
「いいから止めて、これからは自分のこと あおいって呼んでよ」
自分で貼り付けておいた笑みが人間味を帯びていない事に気づく
「わか…った………」
葵ちゃんは何故かしゅんとした顔で寂しそうに頷いた
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