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「……… わからない」つい考えていた事が口に出る
「ふぇ……?う、は?」
葵ちゃんは、戸惑いの眼差しを俺に向けて揺らす
その瞳は純粋で、そして余りにも無垢……
俺は葵ちゃんの目が見えないように抱きしめた
見たら、きっと俺の中の何かが壊れてしまうから……
否、葵ちゃんの健気さに俺は初めから負けていたのかもね
「っきょ、うは…優、しい 、ねんな……」
俺からは見えないけれど、葵ちゃんがフワっと笑っているような気がした
葵ちゃんも抱きしめ返してくれて、俺の背中を優しくさする
顔を上げると、葵ちゃんの瞳と目が合う
その瞳はもう夕焼けの狂った様な赤茶色の光が無くて、
代わりに優しい黒が宿してあった
少し首を傾けて外を見れば、穏やかな夜の帳が俺と葵ちゃんを優しく包んでいた
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