第二章~文久3年 1863年~

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そいつは俺の質問を後回しにし、 「え? と、その前に!!ここはどこですか?」 と、逆に質問し、ゆっくりと起き上がり俺を見た。 その瞬間,一気に顔色が青く染まっていくのが分かった。 『こいつ...不逞浪士か?』 抜刀しようとすると、急に慌てたと思ったら気を落ち着かそうとしていたりと...忙しい奴だと思ったのもつかの間、 「宿!!……痛ッ」 と叫び,右肩を左手で押さえた。 「お前ッ…!怪我してるじゃねぇか! 直ぐに医者に見て貰わねぇと…」 俺はそう言うと、懐から布を取り出して歯で引き裂き、怪我をしている部分へと縛ってやった。 「この怪我を医者に見せ終わった後、お前が何者であるかを調べさせて貰う。」 そう言と、ひょいと背負い、屯所に向かって走って行った。 意外と軽かった。 しかもコイツ...女子だな。 そう思っていた俺は、こいつが背中で眠っている事にこれっぽっちも気が付かなかった……
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