voice(同級生、クラスメイト)

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音にすることは、どれだけ簡単なことだろうといつも思っていた。 好き すき、 それは。 たった二文字の言葉でよかったんだ。 例えば毎日の下校を共にするとき。夕日を背にして半歩前をいくお前の背中に向かって叫んでみるとか。 例えば俺の部屋かお前の部屋か。お互いがくつろいでいるとき。だらしなくベッドに足を投げて眠ってしまいそうなお前の傍。聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で囁いてみるとか。 1分もいらないから、なんなら廊下をすれ違うその瞬間だってよかった。 たった二文字 たった二文字のことだった。
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