夜の海

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 仕事内容によって組まれる人間が違う、だからといってチームワークが無いわけではないので、その方法でずっとやってきている。  だが、その方法をしているからかだろうか。他の奴らは知らないが、俺はいつも孤独だと感じていた。  自分の身は自分で守る、という台詞の戒めがあるからかもしれない。仲間を頼るという行動をした事は一回も無かった。  心を持てば傷付くことが分かったから、捨てた。  そう、捨てた思っていたのに――。  なんで初めて会った奴にこんな気持ちにさせられるんだよ! 「駄目だ……あの微笑が頭から離れねぇ、何なんだよ一体……!」  会いたい……、ぽつりと出てきた。何故だか分からない。ただ、無性にあの悪魔に会いたい。  このコートを返さなくてはならない、というのを口実に。  未来を願っても叶わないと思っていたが、願っていればいつかあの悪魔に再び会えるような気がした――。
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