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ごろり、と寝返りをうち瞼を下ろす。音沙汰無しの携帯電話を、握り締めていると、待ち焦がれていた着メロが流れた。
急いで携帯電話を開けば、新着メール一件の文字。差出人も俊弥である。
ソファーから勢いよく身体を起こしメールを開けば「帰り、遅くなりそうだから先に夕飯食べといて」という文章だった。
料理を一人で食べるのも気が引けて、俊弥の分と自分の分にラップを掛けて再びソファーに飛び込んだ。
適当にチャンネルを回し、サスペンスドラマがテレビに現れたところで手を止めた。クリスマスにサスペンスドラマを見るのもどうかと思うが、甲高い声のする耳障りなバラエティー番組を見るよりはマシである。
「あ、なんかこの人殺されそう」
なんとなく見ていたが、有名な作家の話ということもあり、雅人はいつの間にかドラマに集中していた。
「大概こういうって女が犯人だけど……あえてのこの人かな」
ドラマの中の刑事が犯人を見つける前に自分で予想をしておくのは、雅人の中でのちょっとした楽しみだ。
「誰だよ、こいつ!くそー、外れた」
犯人予想が外れた雅人は、崖っぷちで会話をしている刑事と犯人を見て、頬を膨らませた。
その時、玄関の方から物音がした。
雅人は、持っていたクッションを放り投げ、テレビを消すと玄関へと一目散に走っていく。すると、マフラーを外している俊弥の姿があった。
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