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地面に転がる死体を見ても何も思わない、感じない。
べっとりと頬についた返り血をなぞるように拭った。
闇夜の中でも輝く艶やかな金髪。それが満月の光を浴び、なおさら光り輝いている。
『北のジャック・ザ・リッパー』という異名を持つわずか六歳にして無敗の完璧な殺し屋、サラ・ナフィンである。
開放された窓から入ってくる肌にまとわりつくじっとりとした空気を払いのけるように刀を一振りし、鞘におさめた。
「気分、最悪……」
一枚の布と化したワイシャツを羽織り、乱されたズボンを整えると転がっている死体を見下し小さく呟いた。
「俺を犯そうだなんて一万年早ぇんだよ、下衆野郎」
くるり、と物を言わない物体に背を向け歩き始める。
仲間の内がしたのだろう、廊下に転がっている物体を躊躇なく踏み付けながら歩いていると角から黒い影が現れた。
「サラ様……」
「ボスは殺した」
仲間の一人に抑揚の無い声でそれだけを伝えると、シャツを翻し玄関まで歩む。
突如背中に感じた膨大な魔力に目を見開き、圧倒される程の威圧感を放っている方に恐る恐る視線を向けた。
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