口避け女

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とある所に、髪の毛の長い高校生がいた。 年頃だ…。 髪の毛は染めたいと思うだろう。 だが彼女は、飾ることをしなかった。 化粧も、髪の毛を染める事も、スカートを短くする事も…。 彼女は何一つしなかった。 …ある日、彼女は歩いてた所に、車が突っ込んで来た。 彼女は、しばらくの間、目を覚まさなかった。 数日後、ようやく目を覚ました。 しかし友達やら親族は誰一人来ていなかった。 悲しく思っていた。 そんな所に、ナースたちの裏話が聞こえてきた。 「かわいそうに。 こんな病院に来たから、あんなことに…。」 「しー…。聞こえるわよ。」 体をゆっくり起こし、向かい側にあったテレビの画面を見たら、彼女は、叫んだ。 黒い画面に映った自分の顔。 それは紛れもなく、大きすぎる口…。 頬を手で触ると、絶望的だった。 車が突っ込んで来た時に、顔にひどく怪我をしたのか、ただ縫っただけだった…。 その叫びを聞くと、看護師が走ってきた。 するとすかさず彼女は鍵をかけた。 「どうしたの!? ここ、開けて!」 「…や…だ…、 絶対やだ!皆…ひどい…。」 叫んだ反動で、ただ縫っただけの箇所が、ほつれ、完全なる口避け女になってしまった。 そして彼女は、マスクをして、鍵を開けた。 「大丈夫…!? あ…あれ…? いない…。」 「…私…。綺麗…?」 不意に看護師の後ろから声がした。 「ねえ…。私…綺麗?」 今にも泣きそうな顔で、顔半分を覆うマスク。 「…? き…綺麗よ?」 「…そう…。 これでも…?」 マスクを外した。 すると看護師は、ビックリした。 「…ねえ。何黙ってるの? この口、あなたたちがやったのよ…? そのせいで、親族や友達が来てくれなかったじゃない。 せっかく…せっかく生きても、これじゃあ化け物扱いよ!」 泣きながら、耳まで避けた口を精一杯開いて叫んだ。 「…ご…ごめんなさい…。」 「ごめんなさいじゃすまないの。 私の人生、めちゃくちゃよ…。 どうすれば…。」 看護師は震えて床にへばりついた。 「…どうすれば…許してくれる…?」 「…まず、この口にした人を連れてきて。 そうすればあなたは殺さない。 私は…貴方達みたいに、酷くないの…。」 「はい…待ってて…。」 看護師が逃げて行ったように出た。 「…許さない。」
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