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そして、彼女は刃物を探した。
(…許さない。許さない。)
目を着けたのは、果物ナイフ。
それは、彼女の母が愛用していたナイフだった。
それを見ると、彼女は泣いた。
(…お母さんに会いたい…。
許さない…絶対…!!)
そして医者が来た。
「…あぁあ。全く。
おとなしくしなくちゃダメだろ?」
「…。」
彼女は、後ろを見たまま、立ち尽くした。
「聞いてるの?
――さん!」
スッと彼女が後ろに振り返った。
「…フフフ。
死ねぇぇ!」
グシャ…
おやおや。
彼女はまた一人殺しましたね。
にしても彼女、すごい代わりようですねぇ。
無口で大人しい美しい人だったのに…。
彼女は農家の家から、鎌を奪い、マスクをし、人を探した。
手術をし、自分を奈落に落とした男の人を。
「…ねえ…僕…。
私、綺麗?」
謙虚に聞いた。
彼女は、いつも思う。
この時だけ、何故か悲しくなる。
それはそうだろう。
二度と手術ミスが治る事もなければ、永遠にこの姿で生きなければならないからだ。
「………。」
「…僕…?」
不思議に思った。
何も答えなければ、鎌を持ってる彼女をちゃんと見ているからだ。
「…。」
「…僕………。
そんなに死にたかったの…?」
すると男の子は、首を振った。
男の子の母が来た。
「すみません。この子、話せないの…。」
「なんで…?」
「…貴方には関係ありません!」
彼女は、解った。
親が、暴力的に男の子を引っ張ってった。
つまり、話せないのは、親からの暴力。
「あの…。
痛がってます。」
「しつこいわね!」
そう叫ばれると、[ドクン――]と、彼女が苛立った。
「…私…綺麗……?」
「はぁ?自惚れてんじゃないわよ!」
「…そう。じゃあ…。
これでもそんな口聞けるの?」
マスクを下げ、一気に親を鎌で殺した。
「…よくも…。」
息を整えながら、男の子を見た。
「…僕、私、醜いでしょう?
でも、この世の中も凄い醜いの。
この口にしたのは紛れもなく、この世の者だから…。
はっきり言ってね…。」
すると男の子はまた首を振った。
そして紙に何かを書いた。
[お姉さん、綺麗だよ。
お姉さん、悲しい顔しないで。
助けてくれて、ありがとう。]
ニコッと笑った。
「僕…。ありがとう。」
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