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平成二十年 六月
面倒くせえ……またいつものスクランブルかよ……
茨城県小川町の航空自衛隊、百里基地に勤務する森本真太郎二等空尉はそう呟きながら要撃機・F-15の待機する駐機場へと駆け出した。 彼はコックピットに座ると、素早く計器の確認をした後、整備士に合図してエンジンをスタートさせる。噴射口から青白い炎を出しながら、ゴオォォという轟音とともに機体は滑走路を飛び立った。
スクランブルとは自国の領空に接近する国籍不明の航空機(とはいっても日本の場合、たいていは中国かロシアなのだが)が領空を侵犯しないよう、監視・警告、場合によっては撃墜するための出動である。
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