1390人が本棚に入れています
本棚に追加
漆黒の闇に染まる空の中を二機のF-15Jが駆け上がる。森本二尉と、僚機の山中三尉である。彼らのペアは“JE-06”フライトチームと名付けられている。
基地の地上要撃管制官の声が二人の無線に入る。「120」と番号が付けられた国籍不明機の位置、速度などが伝えられた。
それとほぼ同時にレーダーサイトから、ロシア語、中国語、朝鮮語で
「不明機に告ぐ、そちらは日本国領空に接近している。直ちに引き返しなさい。」
と通告がなされた。
「アンノウン(不明機)の針路に変化はないか?」
中岡健太先任管制官が、隣にいる西山さき二等空曹に尋ねた。
「特に変化ありません。」
「JE-06フライトの接敵時間は?」
「約二分後です。」
時は刻一刻と迫っていた。
最初のコメントを投稿しよう!