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「GCI(地上局)、目標を発見、これより追尾する。」
JE-06フライトの森本二尉はそう言ってスロットルレバーを倒し、F-15の速度を上げた。ペアの山中三尉もそれに続く。 相手はそれほど速度は出ていないらしく、二機はすぐに追い付いた。
「JE-06フライト、こちらGCI。不明機の機種と国籍を知らせよ。」
「了解。機種はTu-142ベアと思われる。国籍は不明。確認の為さらに接近する。」
「GCI了解。空中接触に留意せよ。」
森本は慎重に操縦桿を倒し、機体を不明機に近づけた。
「GCI、不明機はやはりベア。赤の星マークが見える。ロシアだ」
「了解。バンクによる誘導を実施せよ。」
「JE-06、了解。山中、いくぞ」
「了解。」
僚機にそう声をかけ、森本は、ベアの前に出てバンクした。バンクとは翼を左右に振る古典的な「こっちに付いてこい」という万国共通のサインだ。
だが、依然として針路を変えようとはしない。
「トゥィ・チェペーリ、ブゾーニェ――」
森本はロシア語で無線による警告を始めた。
様子に変化はない。
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