プロローグ~高校入学と出逢い~

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「あぁ、サンキュ。 お、今日も母さんが朝食作ったのか? 使用人に任せればいいのに」 誉められて悪い気がするわけがない。 俺はお礼の言葉を簡単に言った後、なんとなく気になっていたことを母さんに尋ねた。 俺の問いに、母さんはにっこりと笑って答えた。 「朝食くらいちゃんと作らないと。 任せっきりは良くないしね。 それにこれでも料理には自信があるんだから」 そう言って母さんはテーブルに向かって歩き出した。 このリビングはかなり広いが、金持ちがよく置いているような縦の距離がワンダフルなテーブルは置いていない。 リビング内には厨房とは別に作られた小さめのキッチンが設置してあり、生活を問題なく送れるほどの食材と器具が揃っている。 そしてリビングの中央には4人が座れる小型のテーブルが置いてあり、この部屋だけを見るぶんには、言われなければ金持ちの家だとわからないほど一般的な造りになっている。 なんでも“心安らぐ家族団らんの空間”が欲しいと、母さんが親父に頼んでだため造られた部屋がこのリビングらしい。 まぁ、母さんらしいっていえばそうなんだろう。 ちなみに使用人達専用の部屋も設けられていて、使用人達はそこで食事等を行っている。 1階にある厨房は、来客をもてなすとき出すような料理を作るときのみ使用される。 また、そのときはもちろんこのリビングではなく、この屋敷の1階中央に位置する“大ホール”を開き、来客をもてなす。 あ、あとパーティーもそこで行ったりする。 この屋敷の中にある部屋の多くは、日常生活で利用することはない。 それにしたって…… 「自由すぎるよなぁ……我が家は」 「え? 蒼ちゃん何か言った?」 「いや、なんでもない。 今更我が家の自由っぷりに驚いてただけだよ」 「自由なのは良いことじゃない。 さ、早く朝食済ませちゃいましょ、遅刻するわよ」 おぉ、そういえばそうだな。 俺は多少の空腹感を感じながら、匂いのもとを辿るようにしてテーブルに向かって歩いていった。
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