仮初め

7/7
前へ
/144ページ
次へ
「……この依頼主はいつも最初から報酬を渡してくるな」 「それだけおまえを信頼しているんだよ。何か飲むか?」 「ウイスキー」 「あいよ」 マスターは棚にあるウイスキーを出すと、グラスにウイスキーを注いでアレインの前に差し出す。 アレインは「ありがとう」と言った後にグラスに口をつけた。 「…マスター、今日は姫のための式典があるのか?」 「おいおい、町中をあるいて来たならわかるだろ?」 「まぁな……にしてもこのアラフィーレは平和な場所だな…」 「まあこの国は特に平和だからな。」 苦笑いしながら肩を竦めた。 「……で、まさかまた依頼あるのか?」 この店は酒場であると同時に傭兵の仕事の請負場。 アレインはここから依頼を受けて今暮らしをしている。 「ああ、最近お前さんがかなり依頼を受けるようになってから、お前を名指し指定で依頼がたくさん来るようになった」 「……あいつら最近成長期だからな。金がいる。」 「ハハハ!まったく、お前も人が良いな」 「……また、来る。」 「あぁ、また来いよ」 アレインはウイスキーを飲み干した後、席から立ち上がり店を後にした。
/144ページ

最初のコメントを投稿しよう!

111人が本棚に入れています
本棚に追加