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背に
あなたの背中をじっと見つめていると
そこはスクリーンになり
ザーザーと砂漠が映る
ゆっくりゆっくり
あなたはラクダと歩いている
瞬きをしている間に大切なシーンが流れたらどうしようかと心配で
回数を減らしたり
高速で瞬きをしたりするのだけど
きっと私はたくさん見逃している気がして
とてつもなく広がってゆく背中に
時折途方に暮れる
一緒に歩きたくなる衝動に駆られる時は
静かに目を閉じ足音だけを探す
一人で行かなければならない場所もあるのだ
きっと
私たちは交代で
互いに背中を見せ合いながら眠った
毎晩一本ずつ
ラクダの睫を拝借し
自分に植え替える
長い時間をかけて
睫を植える
いつか砂になってしまう時
しっかりと見つめられるように
植え替えた睫を上手に成長させようと
私たちはブリッジや逆立ちをしながら涙を流している
いつか砂になるから
今の内にたくさん泣いておこうと思う
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