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四角
私に深夜の通販番組程の陽気さがあれば
お前の皺をもっと自然に増やせるのだろうか、等と考えながら
難しい顔をして新聞に目を落とす
お前は窓に貼りついた景色を毎日眺める
アサガオしか知らないそんな世界で
家の中を水彩画のようにしたのは妻だ
時間をかけて少しずつ空間を作ってくれた
けれどお前がいつか
淡くぼんやりと馴染んで溶け出してしまいそうで
時折怖くなってしまうのだ
台所でキャベツを包むための新聞を念入りに選んでいる
悲しい記事で包んだキャベツは悲しい味になると思っているのか
お前のそんな所が、
いや、なんでもない
お前は年に一度
絵の具になる
固まってカラカラの鮮やかな化石になってベッドの下からころんと出てくる
そして
自分の涙で滲み出し私の指に染み渡る
アネモネなんか知らないそんな世界で良かったのに、と言って
古新聞を束ねるお前の神がかった一連の動作とその横顔を盗み見るのが好きだ
ゴミ出しに行くのか
ついでに隣町のスーパーまで行ってみるか
あの景色には続きがあるよ
私が手を引こう
頼りないかもしれないが
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