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傍らのサボテンが 体中の水分を奪っていくのがわかった それは時々思い出したように泣くので 私は嘆いてみたり哀しんでみたりで 消臭剤の減りが早い 部屋中の生気までも吸い込んでいるのか 彼が溶け出してしまった日に 飾った花は半日で枯れた 欠けた月、満ちるまで ミルクを温める時間が必要だと思う (それを飲んだとしても  眠れる保証などないし  眠れた試しもない) 化粧水がいつもよりも浸透しにくい 冬が冬が 近づいているのだ ぐにゃり、 揺れるコンクリート 彼は蜃気楼を着込んだ この距離はただずっと平坦に保たれていく そして私を保っていく 間違った握り方の鉛筆で 狂ったようにデッサンを パンは零して構わない いずれ鳥が食べるだろう きっとあなたの心臓は思った以上に速く脈打っていたのだと思う あれ以来私の鼓動が速くなってしまったのと同じに その後ろ姿は滑らかで 絵画に収まってしまいそうだ まるで美術室の隅に置き去りにされたみたいな皮膚 もっと助骨に触れておけばよかった (あなたが母よと慕うなら、私は母にもなっただろう 父にはなれなくとも) ぱしゃり、 跳ねた水たまり 霞いる声 「明日で待ってる」 そう残して同化してった (つまり私達は、もう、  永遠に、) また零時が来る 近づいて遠ざかる あれは綿毛か彼の髪か 傍らに花は咲いたか (明日のなんと、  遠いこと) どうしても 思い出せない ピカソになった あなたの顔を 思い出せない どうしても (春の背中は寂しげだ)  
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