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永らえる
口元を拭わずにきた
その代償を知らないふりして
果物からもらった水分だけをたっぷり含んで空に浮かべば
海を漂うものと向かい合える気がした
せせら笑う波の音が
私を駆り立てては消していく
砂浜に.が連なって
私の後ろ曖昧にしてる
スカートをたくしあげ
それを拾うけれど
振り向けばまた曖昧になる
穴の空いたスカートじゃ全部は拾えなかった
でもそれでよかった
綺麗に舐めとられた皿に拍手をおくりたくなったのは経験不足だったから
彩られていく皿の上に
まだ微かな期待をした
0にしがみつく私は
かじりかけのハンバーガーみたいにみっともなかった
脱げた靴を拾うこともなく駆けていく幼子の
その後ろには空白が連なっている
舌なめずりして近付いてくる海
右足だけを浸して呼吸を始める私は
どこまでも卑怯だった
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