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真っ白な雪が、静かに降り始める。
「私、引っ越すことになったの…。」
彼女の麗にそう言われたのが2週間前のことだった。
アイツと離れるなんて考えたこともなかった。
ずっと傍にいて、笑ったり泣いたりってたんだ―――…。
今日は12月24日。
時刻はPM7:00。
場所は駅前のファミレス。
街中が色鮮やかなイルミネーションで彩られている中で、彼女のいない友達と4人で、男だけの寂しいクリスマス会の真っ最中だ。
「ついに匡佑も俺たちの仲間入りだな…。寂しい者同士仲良くしようぜ!」
「いや、俺彼女いるし。」
「今ここにはいないじゃん。引っ越しちゃったんだからさ。」
祥太に言われても、何も言い返せない。
実際、麗が引っ越してから、電話もメールも全くしてない。
麗からも来ない。
たぶん今の俺は、連絡を取ってしまったら、会いたくてしょうがなくなるだろうから。
「おーい…
そんな暗い顔するなよ。せっかくの飯がマズくなるだろうが。」
祥太がフォークの先を、俺に向けながら言った。
俺はフォークをずらし、ため息を吐く。
「麗も引っ越したばかりで忙しいだろうからな…」
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