~星雪の空~

2/7
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
真っ白な雪が、静かに降り始める。 「私、引っ越すことになったの…。」 彼女の麗にそう言われたのが2週間前のことだった。 アイツと離れるなんて考えたこともなかった。 ずっと傍にいて、笑ったり泣いたりってたんだ―――…。 今日は12月24日。 時刻はPM7:00。 場所は駅前のファミレス。 街中が色鮮やかなイルミネーションで彩られている中で、彼女のいない友達と4人で、男だけの寂しいクリスマス会の真っ最中だ。 「ついに匡佑も俺たちの仲間入りだな…。寂しい者同士仲良くしようぜ!」 「いや、俺彼女いるし。」 「今ここにはいないじゃん。引っ越しちゃったんだからさ。」 祥太に言われても、何も言い返せない。 実際、麗が引っ越してから、電話もメールも全くしてない。 麗からも来ない。 たぶん今の俺は、連絡を取ってしまったら、会いたくてしょうがなくなるだろうから。 「おーい… そんな暗い顔するなよ。せっかくの飯がマズくなるだろうが。」 祥太がフォークの先を、俺に向けながら言った。 俺はフォークをずらし、ため息を吐く。 「麗も引っ越したばかりで忙しいだろうからな…」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!